2008年2月8日 (金)
アレクサ・スティル フルートリサイタル

伴奏: 片岡和子        2008年2月8日(金)午後7時~          ミューザ川崎「Assembly Hall」
今回、The Music Center Japanの企画で初来日したアレクサ・ステイルさんは国際的に有名なフルーティスト。ニュージーランド出身の彼女は今や南半球、北半球を股に掛けて世界中で活躍している。日本に来るのが遅すぎたくらいだ。長身の美女、気立て優しく、笑顔 絶やさず、物怖じしないその人柄は、前アメリカフルート協会の会長だったことを雄弁に物語る。暑い南半球のシドニーから寒い北半球の日本にようこそ。80名ほどの聴衆も満足気だった。

プログラム

プーランク:   フルートソナタ
バッハ:     ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタⅣ BWV1017より”シシリエンヌ”
マスネ:     タイスの瞑想曲
ドビュッシー:  月の光
フォーレ:    パバーヌ Op.50
ボルヌ:     カルメン幻想曲
アン・ボイド:  ゴールドフィッシュ・スルー・サマーレイン
イアン・クラーク:ズーム・チューブ(フルートソロ)
フランク:    ソナタ イ短調

静かなスローテンポの曲から速い情熱的な曲までヴァラエティーに富んでいて、 フルートの音色の幅広さを満喫、堪能した。フルートは演奏者の息遣いが聞こえてきそうでいかにも人間的だ。大きな身体を屈めたり、伸ばしたりしながら演奏するのはお腹から空気を出しているからだろう。ピアノやヴァイオリンと違って手指の動きは小さいが、声楽家のように唇の動きは活発そうだ。その口元から紡ぎ出される空気の糸、紐のように野太いのもあればフィラメントのようにか細いのもある。伸びやかな糸は明るく金色に輝くのもあれば淡いピンク色したエレガントなオパール色もある。それらで織り成す織物はまさに微妙な音で綴ったタペストリーだ。どの曲も素晴らしかったが、中でも私に印象的だったのはドビュッシーの「月の光」。 静かな出だし。温かい中にどこか冷たい月の印象派の絵のように淡い雲間を走る月、 センチメンタルな宵、心優しい乙女にも雅な平安朝の貴族にも勇壮で幽玄な武士の気持ちにもなれた。 もう一つ印象的だったのはアン・ボイドのゴールドフィッシュ・スルー・サマーレイン、「夏雨の金魚」とでも訳すのか、タイトルからしておもしろい。作曲家の彼女は尺八もやる そうで、まさにこの曲は東洋的だ。ピアノがカタカタと乾いた音を立てる中、托鉢僧の尺八が遠吠えのように聞こえてくる。獅子舞が舞っているような場面もあった。

 ( 金 ) アレクサ・スティル フルートリサイタル