2018年6月16日 (土)
イグナツ・リシェツキ ピアノリサイタル2018

今日は、最初のピアノ演奏を聴くなり度肝を抜かれた。月や花を愛でるような繊細な曲ではない。ハワイ島の火山爆発でも思わしめるような赤い大胆な曲である。書に譬えれば、楷書でも行書でも草書でもない。また隷書でもない、あえていうならふとぶととした篆書だろうか。これはあのレナード・バーンスタインが作曲したピアノ・ソナタだ。米韓軍事演習でも見ているような気分になりその無機性に陶酔した。またシマノフスキやスクリャービンの曲を聴いていると、太陽の出ている時に降る雪、つまり「風花」を見た。この風花に、太陽の光が当たると、雪が風に舞ってキラキラと光りながら空から降ってくる、そんな思いのする音の結晶だった。宝石に代表される鉱物の結晶が無機質に明るく輝いたかと思うと一転して湿っぽく有機的に輝く、そんな感じがした。ロシアのピアノ曲は複雑系だろうか、カオスの中にはっきりした美が認められる。プログラムにある通り、東欧文化のルーツを見る思いがした。

Salon Classicで今日ピアノを弾いたのはポーランド人のイグナツ・リシェツキ、小柄で日本語も喋る愛すべきにこやかな男性、その彼が私にはピアニストである前に詩人と映った。リズム感だけでテクニックだけで弾けるわけがない。と思って経歴を見ると、彼は作曲家でもあり指揮者でもあった。なるほどと合点が行った。舞台裏で話しているときの彼は剽軽そのものだが、一旦ピアノに向かうと極めて真摯に音楽と向き合う。熱演というより余裕たっぷりにピアニスト魂を発揮する。これこそが音楽なのだ、ピアノなんだと思わしめる。東京藝大の澤和樹学長と共演するのもすっきり頷けた。

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