2006年5月20日 (土)
エル=バシャ ピアノリサイタル

2006年5月20日(土)午後2時~          Salon Collina
このところ天気が不安定、今日も雨が降ったり止んだり。蒸し暑くカラッとしない一日だったが、雨に煙る青い芝生もまた風情があり、向こうに望む葉山の山並みは却って幻想的で今日の幻想曲特集にふさわしい天気とも言えた。今日のピアニストは、19歳にしてベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクールで審査員満場一致で優勝した世界的に有名なピアニストだけあって、クラシック音楽の専門テレビ局、クラシカ・ジャパンがこのSalon Collinaに撮影に入った。本日のリサイタルはガブリエル・ムジカの藤川さんのご好意で実現した。

Abdel Rahman El Bachaの本日のプログラム
モーツアルト、ベートーヴェン、シューマン、ショパン、メンデルスゾーン、
スクリャービン、ファリアの順で最後はバラキレフの幻想曲特集だった。
モーツアルト: 幻想曲ハ短調 K,475     、
ベートーヴェン: 幻想曲ト短調・変ロ長調Op.77
シューマン: 三つの幻想的小品Op.111
ショパン: 幻想曲ヘ短調Op.49
メンデルスゾーン: 幻想曲 嬰ヘ短調 スコットランド・ソナタOP.19p
スクリャービン: ピアノソナタ第2番 嬰ト短調幻想ソナタOp.19
ファリア: アンダルシア幻想曲
バラキレフ: イスラメイ(東洋風幻想曲)
アンコール曲
自作: アンダルシア前奏曲
レバノンの歌

温厚で穏やかな人柄そのままの演奏だった。腕を上げたり首を振ったりの派手な動きは一切ないが、それだけに緻密で濃密な2時間が流れた。技巧的に難しかろう曲が彼の手にかかると何の苦もなくごく自然に弾けてしまう、そんなわざとらしさのない、淡々とした弾き方に円熟した味を感じた。彼の演奏を聴いている間じゅう、あたかも大ロマン小説を読み終わえ、しばし呆然とその読後感か余韻に浸っているような気分になった。大作といわれる文学書にはよく計算された筋書き展開の中に深遠で感性豊かな美が潜んでいるように、エル=バシャの演奏にも緻密に計算されたモーツアルトからバラキエフに至る道順があり、そのうねりの中に奥深い美しさがあることを悟った。夫々の幻想曲にそれぞれ独自の美しさがあるのは当然だが、中でも今日はシューマン、メンデルスゾーン、それにバラキレフに一層の妙味を感じた。

 ( 土 ) エル=バシャ ピアノリサイタル