2014年1月28日 (火)
サン=サーンスの曲はシャガールの絵

2014.1.25(土)、 東京オペラシティコンサートホールで漆原啓子と練木繁夫のデュオ・リサイタルを聴いた。円熟した二人ののびやかな演奏に強く感動した。漆原啓子のストラディバリウスから発する絹糸のような光沢のある正統派の音色にはいつもながらいたく感心する。

曲目はベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調「春」、同じくベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調、フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調、サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調、サラサーテ:ツイゴイネルワイゼンだった。

今日はその中でも特に私の耳に残ったサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」の印象について述べたい。

この曲はヴァイオリンのあらゆる技巧が盛り込まれた華麗さと、いかにもサン=サーンスらしい多彩な魅力に満ちた曲だという。そうだろう、だからこそ感激し感動したのだろうが、私のようにクラシック音楽に疎い者には聴いたときの強い感動も時間が経つにつれて拡散してしまう。そのため私はいつも演奏を何か目に見えるイメージに結び付けて覚えて置こうとする。そんな思いで今日も聴いていたが、このサン=サーンスの曲を聴き始めるやいなや自然とシャガールの絵が浮かんできた。序奏が鳴り始めたとき、郷愁の音色というか、どこか遠くの淡い幻想的な世界が脳裏に浮かんできて、それが愛と夢と幻想で有名な画家、シャガールの、青と黄と赤と緑で描かれた、宙に浮く人間やロバや花籠に見え始めた。そしてその奥に神に祈る宗教感を感じさせた。聴き進むにつれて何だか東洋的な響きがし、ペルシャやアジアの東洋文化を暗示しそうで聴く者の想像力をかきたててくれた。ロシアに生まれパリで過ごしたユダヤ人のシャガールはサン=サーンスより半世紀ほど遅れてこの世に誕生した人だが、エキゾチックな点でかどこか二人には共通点があるように思えて仕方なかった。

写真 (23)