2015年10月5日 (月)
トルコレストラン

今朝は昨昼よりも昨晩の話からしよう。今晩のおもしろいエピソードだ。

昨晩、ヤヴォルカイ兄弟のリサイタル終演後、芦屋川駅近くのトルコレストランに食事に行った。なんでもここは昨昼、偶々この兄弟がこの近くを歩いているとトルコ人店主に呼び止められて入ったレストランという。トルコとハンガリーは元来仲良しで、二人の風貌から二人をハンガリー人と断じた店主が二人を親切にもてなしたので、そのお返しに今晩はヴァイオリンを持ってまたくると約束してきたものだった。

そこで兄のシャンドルが背中にヴァイオリンを担いで入って行くと、店内の20人ほどの人が手を叩いて歓迎してくれた。なんと店主がもうそろそろ現われるころだとみなに告げ待っていたものらしい。その人たちがどなたかわれわれが知るはずもない。トルコビールなどでのどを潤してからやおら立ち上がったシャンドルが皆の前でヴァイオリンを弾き始めた。品のよい白髪の人、黒装束の人、知的な壮年の男女、夫々、真剣な眼差しでシャンドルの音色に耳を傾ける。

私はついに隣の中年女性に、「皆さんご一緒ですか」と尋ねると、「私たちは音楽関係者や宗教関係者で今日はキリスタン大名、高山右近の400年祭を記念して芦屋で演奏したりコーラスで歌ってきました。今、ここで打ち上げをしているところです。高山右近をご存じですか」と来た。私にとって高山右近は知るも知らぬもない。高山右近は私の生まれた高槻の高槻城主。その城跡に出来た中学の卒業生だと答えたら、一同その奇遇にビックリ、同時にこの二人が超絶技巧でギネスブックの記録を超えた世界的に有名なヴァイオリニストとチェリストだと家内が説明すると、話の盛り上がること盛り上がること。皆が曲に合わせて手を叩くと、シャンドルも一段と調子に乗り17世紀末の名器を手に縦横無尽に弾きまくる。

客の何人かが、これは日本で努力してマスターしたヴァイオリンとは次元が違う。努力よりも生まれつき。その血が今、湧いてきている。普通なら昼間本番で弾いたら夜はもうヘトヘト、弾く元気などないものだがいくらでも無尽蔵に弾く。何よりそれがその証拠だと感心していた。その通り。チェコ辺りで私も経験したが、真っ暗の夜中、林に吊るされた裸電球の下、いつ果てるともなく弦楽器を弾きまくっていた楽師たちを思い出していた。IMG_0430IMG_0429