2006年11月20日 (月)
ニカ・シロコラッド ピアノリサイタル

天才女流画家で驚異のピアノ超絶技巧の名手。東ヨーロッパが秘匿する最大級の才能!今年3月、Salon Collinaに初めて来たニカが再びやってきた。 今、行なわれている浜松国際ピアノコンクール参加の途中立ち寄り、ここでリサイタルを開いた。

2006年11月20日(月) 開演: 14時    Salon Collina

      プログラム
バッハ:  プレリュードとフーガ  変ロ短調                    モーツアルト:   ソナタ ハ短調 第一楽章                     ベートーヴェン:  悲愴 ソナタ                         クープランド:   ピアノ変奏曲                          ラヴェル:     悲しき鳥                           シューマン:    ノベレッテ                            リスト:      リゴレット(演奏会用パラフレーズ)               北爪道夫:     ”Distances ll “for piano

それぞれ持ち味の違う演奏を聴いてどれがよかったか迷っているさなかに彼女が訊いた。 「どれが好きだったか、ラヴェルの悲しき鳥か」と。なぜラヴェルといったのか、たしかに私はラヴェルが好きだが、彼女がそれを覚えていたのだろうか。しかし、今日は「いや、ベートーヴェンの悲愴とクープランドのピアノ変奏曲だ」と答えてしまった。悲愴のジーンと胸にくる荘厳な調べに今日はもっとも感激した。クープランドの変奏曲は大変ダイナミック で、突然降って湧いたような音がするかと思うと、逆に突然停止を食ったような音がする。ツ・トン・ツ・トンとテンションを高めておいて次にギャーンとカルタシスを覚える。村の中で猪を追うようなおもしろさを感じた。それにしても弾き手によって変わるスタインウエイの音色はさすがだ。
数日間、我が家に寝泊りしていたニカを見て、その美的感受性に驚いた。葉山近代美術館で山口蓬春の日本画を見たときの食い入るような目、しおさい公園で昭和天皇収集の相模湾の魚類を見たときの興味深そうな目、海岸で遠く水平線を眺めるときのロマンチックな目、公園の錦鯉や樹木を観察するときの優しい目、夜、DVDで「ローマの休日」を見るときの真剣な目、これらがすべて音楽性への肥やしとなりピアノを弾くときのあの表情となって現れるのだと推察した。ピアノを弾く際のテクニックしか頭にない学生の音楽性と大きな違いだ。 音楽を志す人はもっと美的センスを磨いて欲しいものだ。

 ( 月 ) ニカ・シロコラッド ピアノリサイタル