2015年6月13日 (土)
プーランクな午後

 

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プーランクな午後

何とも素晴らしい形容詞を付けたものだ。プーランクな、とは。これは1899年に生まれ、1963年に没したフランスの作曲家、フランシス・ジャン・プーランクの世界を聴かせて進ぜようと意図した形容詞だ。プーランクはパリのど真ん中で生まれ育った生粋のパリジャンで都会派。20世紀を象徴する作曲家だ。その楽風は、クラシックはもとよりオペラ、バレエ、シャンソン、ジャズとあらゆる主要音楽ジャンルを混交し、ユーモアとアイロニーに富んだ独自の世界だ。

このプーランクの世界を今日は、ピアノの宮崎剛、クラリネットの井上春緒、ファゴットの松本静香の三人が披露してくれた。すべて本日の曲はプーランク作曲で、クラリネットとピアノ、またはクラリネットとファゴットのデュオ、それにクラリネットとファゴットとピアノのトリオだった。このところシャンソンともどもフランス付いている。

プーランクは弦楽器よりも管楽器の音色を好んだようだ。その軽快な旋律、軽妙な諧謔、それは言葉ではなかなか言い表せそうもない。演奏を聴きながらこのような音楽の感触を表わす絵画はないかと思案していたところ、二十世紀のフランス抽象画家、ロベール・ドローネーが思い当った。この画家もプーランクと同じくパリ生まれで、1885年~1941年だから時代もちょうど重なる。知名度は低いが、印象派からフォービズム、キュビズムそれに未来派を加えて抽象絵画へと昇華させた画家だから絵画のプーランク編と言えないこともない。

筆者はプーランクについてはほとんど無知だが、過日、そのピアノ曲、「ナザールの夜」のプログラムノートの翻訳をアメリカのピアニストから頼まれ、調べてみると、日本語訳があるにはあるが、もう一ついただけない、そこで独自訳を試みたが、そのとき、初めてこのプーランクの諧謔性をみた。それを今日、あらためて、まざまざと見た思いがした。参考にその私訳を載せておく。

市販訳               私訳 

変奏1. 分別の極み       分別臭さプンプン匂う

2. 手の上の心臓        感情露わに思ったことズバズバ抜かす

3. 磊落と慎重と        無頓着かと思いきやなかなか慎重な御仁

4. 思索の続き         屁理屈一杯並べやがって

5. 口車の魅力         人を煽てるのがお上手

6. 自己満足          一人悦に入ってら

7. 不幸の味          人の不幸を喜んで

8. 老いの警報         抜け目のないお年寄り

 

今日は、この他、プーランク作曲の声楽(愛の小径)を客の一人が歌い、サン=サーンスの「白鳥」をクラリネットの井上春緒が、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」をファゴットの松本静香が、サティの「ジュ・トゥ・ヴ」をピアノの宮崎剛が演奏した。