2015年2月6日 (金)
リカルド・モヤーノ ギターリサイタル

昨晩はアルゼンチン出身のギターリスト、リカルド・モヤーノのギターリサイタルがSalon Classicであった。久しぶりに聴くギターの音色にしばし陶酔した。「南米とトルコを巡る音楽の旅」と銘打ったプログラムだけにラテン・アメリカのフォルクローレ(民族音楽)の数々を満喫した。ラテン音楽と聞くと賑やかで明るいリズミカルな曲を想像しがちだが、リカルドが弾くギターを聴いていると決してそうではなく、この地方に先住していた民やスペイン等から移住してきた者たちの悲喜こもごもの感情が調べに乗って現れた。

平素、聴いているクラシック音楽が精神的で魂を揺さぶるものとすれば、今日の演奏はもっと身体的で人の情感に訴えるものがあった。曲名からして、コスタリカの「絡み合い」、ボリヴィアの「運命」、アルゼンチンの「見捨てられた牧場」、「帰郷」、バラジルの「憐れみ」などが示唆するように、どこか悲壮感や哀切感が滲んでいた。

ギターそのものの音色が金属質も木質も含んでいて、どの音もが孤独で寂しいが、瑞々しく、むらさき色やえんじ色に輝やき、糸のようなか細い響きを滲ませながら消えて行った。センチメンタルやロマンチックな気分に浸るのはこのような音質のせいかも知れない。

静かさという名の布にこのような細い糸で縫い上げられたリズミカルな凹凸のある刺繍模様はそのまま心の襞模様であり心の綾だった。リズミカルな音には陰影があり、明暗があり陽気と陰気の両性を見た。ギターを胸に抱えて指で掻き鳴らすリカルドの姿を見ていると、彼のもう一つのハートが外に出て内部感情をさらけ出しているように思えたし、それを一心に眺めている観客の眼差しを見ているとだれの心にもギターが常在しているようにも感じた。

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