2001年11月17日 (土)
ヴィクター・ローゼンバウム ピアノ・リサイタル

肌寒く感じ始めた晩秋の一日、Salon Collinaにはボストンから来たヴィクター・ローゼンバウムの清冽なピアノの音がこだました。ホールから見える葉山の山が赤くそまり、青空にその稜線が波打つ、美しい旋律さながらに。

2001年11月17日(土) 午後2時~ Salon Collina にて

プログラム

R.シューマン: 「子供の情景」
W.モーツアルト: ソナタ 変ロ K333
A.ハチャトゥリャン: 「トッカータ」
F.シューベルト: 即興曲 2曲
L.ベートーヴェン: ソナタ 14番 Op.27-2「月光」

字は体を表わすという。ならば音楽も人格を表わすに違いない。物腰の柔らかい、上品な、貴公子然としたローゼンバウム氏にして初めて出る上品な音色、ボストングローブ紙が「ベルベットの肌触りにも似た音色」と評したのも分かる。氏がピアニストであると同時に、ハーバード大学横のロンジー音楽院の学長を16年勤めていると聞いて不思議はない。1923年製名器、スタインウエイから、シューマンの「子供の情景」の、しっとりと落ち着いた静かな曲が流れる。うって変わって、ハチャトゥリャンの「トッカータ」、その賑やかな出だし、狂おしいまでの曲。まるで落雷したような音。じゃじゃ降りの音。そこには強いアルメニアの民族的個性が感じられる。ベートーヴェンのソナタ「月光」、音で紡ぐ独特の世界、繊細ながらも大胆、その自然な抒情性に打たれうっとりとする。音楽はみな人間が作り、そして奏でる。造形美なら自然に出来た美もあるが、音楽ばかりは人間以外には造れない。そこに造る人間の、奏でる人間、人格が反映しないはずがない。お連れ下さった上原先生に感謝。

 ( 土 ) ヴィクター・ローゼンバウム ピアノ・リサイタル