2021年1月17日 (日)
伊藤順一ピアノリサイタル(1月15,16日)

すっかりお馴染みになった伊藤順一君の昨日(1/15)、今日(1/16)のSalon Classicでの一時間半にわたる休憩なしのピアノ独奏に陶酔してしまった。代表的なものとしてシューマンの献呈、リストの愛の夢、ショパン英雄ポロネーズなど10曲以上を数え、中にはラフマニノフの曲もあった。昨日はリクエストにも応え、ショパンのノクターンと革命のエチュードが演奏された。

昨日も今日もプログラムは特別用意せず、当意即妙に次から次へと演奏された。演奏に先立ち、昨日はベヒシュタイン、今日はスタインウェイピアノの特徴やピアノ音の種類や出し方の説明があった。たとえばシャープ調は身近に感じる音、フラット調は遠く離れた、空想的、幻想的な音を表すとか、ピアノには88鍵あるが、その一鍵につき100個以上の部品が組み合わさり工夫が凝らされている。つまり88鍵全部では一万以上部品がある。ネジ一つにも、ピアノの脚下のコマの向きによってすら音は違う。私はそれを聞きながら、ホールの壁に掛けた私自身の描いた絵に思いを馳せずにおれなかった。絵具にも12色や24色がある。それらには濃淡、明暗があり、それらを混合すれば、優に万色が作れる。キーへの指タッチが白いカンバスへの筆タッチのように思えてくる。こう見てくると、絵も音楽もいよいよ同じに見えて来た。絵のカンバスが白い布なら音楽のそれは空中だ。そこに青に相当する鍵と黄に相当する鍵を意識して同時に指で叩けば空中には緑の音が放たれる。一つの絵は一つの曲だ。音楽はそもそも抽象物だから、抽象画はいよいよ音楽に近づいてくる。絵具会社によって微妙に色質が違うようにピアノ会社によってピアノ音は違う。ベヒシュタインとスタインウェイは違う。今日の演奏曲に替えて、私の抽象画を掲げて参考にして頂こう。