2017年8月7日 (月)
古田昌子&坪井真理子 デュオ・リサイタル

IMG_2414今日の歌は文句なしの満点以上。その存在感、落ち着き、貫禄はさすが。本物の国際派である。砂かぶりならぬ声かぶりの距離から彼女の姿を見、声を聴いた。その名はメゾソプラノの古田昌子。神戸女学院卒業後1990年前後から長くスイスで勉強、スイス各地でコンサートソリストとして活動、96年にはイタリア・ミラノに本拠を移し国際コンクール現代オペラ部門で上位入賞を果たしている。さらに、現在はドイツのドレスデンに在住、ザクセン州立歌劇場の合唱団で歌っている。
彼女は単にヨーロッパ各地に長く在住したというだけではない。オペラ歌手としてその身体を通じヨーロッパ人の言葉と感性をマスターし、それと相対化した上での日本語とその情緒をあらためてマスターするのが彼女の仕事だろう。器楽と違うところかも知れない。
この歌っている時の姿勢と表情を見よ。頭の天辺から足のかがとまで常に不動でジェスチャーらしきものもない。声はそうでないと安定しないのだろう。そのわざとらしさのない自然なポーズの中に歌の万感が込められ、顔がシンボリックに喜怒哀楽を表わす。
またそのメゾソプラノの魅力はソプラノのそれではない。いささかダークな声質が大人の感傷を帯び、聴いている側の感傷もそそる。
「初恋や」「荒城の月」の日本歌曲がブラームスやヘンデルなどの西洋歌曲の間に挟まれたのもよく計算してのことだろう。あらためて伝統的な日本情緒を満喫すると同時に西洋の感性にも触れることができた。
坪井真理子との出会いは昨年のここでのことだった。それ以来二人は親しくなりライプチヒでもドイツ人の前で古田がよく日本歌曲を歌っているよしだ。