2013年12月27日 (金)
大町 剛(チェロ)と宮崎 剛(ピアノ)のデュオ・リサイタル

2013年12月26日(木)午後2時~
Salon Classic にて

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しばらく続いた好天気も今日は雨、雨男と自称する宮崎 剛と大町 剛のデュオが始
まった。珍しいことにこの二人、名が一緒、漢字も一緒ならともに剛(たけし)と読
むという。偶然の一致だが、筆者は、これはコンサートa go-goだと思った。
さて、今日はすべてショパン曲。最初に本日のムードを盛り上げるための曲「序奏と
ポロネーズ」。艶のある低音のチェロと黒曜石のような黒光りするピアノ音が煙のよ
うにたなびきホールはさながら玉手箱。そこに3、40名ほどの聴衆が飲み込まれた。
どの顔も感激で火照っている。盛り上がったところで「ノクターン作品9-2」.
宮崎によるピアノ・ソロだ。物憂げで感傷的な調べに陶酔して筆者は泣きそうになっ
た。次は「幻想即興曲 作品66(遺作)」遠く夢見るような調べは小人が跳躍して
いる風にも思える。ショパンは39歳で夭折するが、その前半はこれらの曲のように
明るく故郷、ポーランドで過ごすが、後半は物思いに沈みがちにフランスはパリで暮
らす。恋人ジョルジュ・サンドとの暮らしはいささか神秘めく。次の「幻想ポロネー
ズ作品61」は苦悩に満ちた、深くうなだれた、凹凸のある曲だ。最後のボーンと響
くピアノ音が印象的。これは未来に明るさを見出したのか、それとも人生を開き直っ
たのか。ポロネーズとはフランス語でポーランド風の舞曲を指す。故郷のポーランド
を想い出しているのだろう。休憩を挟んで次は「チェロとピアノのためのソナタ
作品65」深遠な響き、雄大な響き、チェロがピアノを縁取り、ピアノがチェロを縁
取る。ダークな金色が黒縁に彩られたり、逆に黒色が金縁で彩られたり。次の曲は
ポーランドを離れフランスに赴く際の遺作「別れの曲」のピアノとチェロのソナタ。
チェロの悲しい響きが馥郁とホールを満たす。いずれも感激ものだがショパン一色の
今日の演奏に少し物足りなさを感じた瞬間、アンコールにピアソラの「リベル・タン
ゴ」を弾くという。あぁ、嬉しや、ラテンを聞けるとは。眠れるような夢心地の中、
ビューンと一声、ピアノが鳴る。リズムよく、テンポよくにぎやかに明るく、曲は
頭にも胸にも腹にも響くのだった。(2013.12.26 中西隆夫)