2015年2月25日 (水)
太田キシュ道子(ピアノ)&近藤直子(ソプラノ)Duo Recital

2015年2月21日(土)開演15:00

15.02.21太田近藤ベヒ

春を告げるフキノトウが一斉に芽を吹くこの季節、そのためチラシにもこの山菜をあしらったのだが、今日は東京新橋近くの汐留ベヒシュタイン サロンで太田キッシュ道子と近藤直子のデュオリサイタルがあった。

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最初に道子によるシューベルトの4つのピアノ即興曲作品90の演奏、次に近藤直子のソプラノ歌唱があった。
道子の第1番ハ短調が始まった。静かな出だし、寂寥感が漂うしっとりした、奥床しい、清楚な調べを聴いているうちに何故か京女のキモノの柄をイメージしていた。どうしてこのようなイメージが湧いたのか、おそらくそれはどんなに複雑な織物も美しい経糸と緯糸から形成されるように、いかに複雑な曲も右手と左手で機織られるように感じたからだろう。その思いは曲を聴き終わるまで付き纏った。

第2番変ホ長調は明るい派手目な、彩り豊かな小柄模様のキモノを着た乙女が青空に舞うイメージだったし、第3番変ト長調は妙齢のご夫人が空色の地に大柄な模様をつけた華美で優和な銘仙を着ている粋な姿に映った。

圧巻はやはり第4番変イ長調、気品に溢れた中年女性が煌びやかに光る重厚な西陣織の着物を纏って舞を舞っている風に感じた。まさに纐纈織大政所裂文(こうけちおりおおまんどころげきもん)の帯だった。(こんな言葉を知っているわけがない。なんとこれは偶然の一致。今晩の産経夕刊の「舞台の遺伝子」に載っていた西陣織の帯を指す用語で、その写真を見た瞬間、これだと思った)。きらびやかな赤地に立体的な花が浮き立つキモノ、それを着て大きく床を蹴って舞う姿は壮麗にして生き生きとしていた。

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実はシューベルトは他の作曲家とどこか一味違うと常々私は思ってきた。それがこのキモノをイメージすることによって解けたような気がした。他の作曲家が洋服なのに対しこのシューベルトだけは和服の質感を持っているのだ。
近藤直子の歌う最初の曲もシューベルトの「春の信仰」「野ばら」だった。少年時代から聴き慣れてきた「野ばら」を想うにつけ、やはりシューベルトの曲には日本人に合う和服的質感があるのだと確信した。
ところで同じソプラノでも色々あるようで、近藤直子のそれはまるで蒸留されたように高く純粋で、その中で叙情性を醸し出していた。

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