2017年10月2日 (月)
横山美里ピアノリサイタル

よかった。とくにラフマニノフの「コレルリの主題による変奏曲 Op42」が。深く、重かった。が、きれいだった。

昨日は午後2時からSalon Classic で横山美里のピアノソロリサイタルがあった。黄色い衣装をまとった横山が今日弾いたのはほとんどが舞曲だった。

バッハのパルティータ第1番 変ロ長調 BWV825に続き、ラフマニノフのコレルリの主題による変奏曲Op.42、休憩を挟んで、ショパンのマズルカ、ワルツ、ノクターン、バラードらであった。

バッハの曲はテンポの異なる色々のバロックダンスだろうか、長髪を垂らした黄色姿の横山が蝶々となってひらひらと花に近づいたかと思うと、身を翻して空に向かって勢いよく飛び去って行った。

この黄蝶々がラフマニノフになるや黒いあげは蝶に化けた。今日はこの黒あげはの“絶望の美”にぞっこん惚れこんだ。

ロシア生まれのラフマニノフはロシア革命の混乱から逃れるためアメリカに渡った。帰国の機会を狙ったが、ついに来ず、渇望した帰国の望みは完全に絶たれた。帰れぬとわかってもなお募る一方の望郷の念。この祖国への強い想いを込めて、ラフマニノフ58歳にして創作した初のオリジナル作品。渡米後14年が経っていた。

中世から伝わる舞曲<フォリア>は、コレルリによる流麗なヴァイオリン・ソナタだが、<フォリア>とはそもそも“狂気じみた”の意。そこでラフマニノフにおいて、このフォリアは一転、狂気の絶望、虚脱と化し、こみ上げてくる郷愁と悲しみは一音一音、孤独な音楽家の魂の渇くことのない涙となって溢れ出た。ドラマティックな演奏にぞくっとすると同時に、これを暗譜するのは大変だと感心した。

ショパンのノクターンやバラードは私の好きなピアニストによりしばしば演奏されてきたが、横山のそれらは私には格別の味を提供してくれた。派手さよりもしんみりとかつじっくりと物語を読み聞かせるように弾くピアノが私の心を捉え心に響いた。

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