2016年5月14日 (土)
武岡 徹コンサートシリーズVol.2 緑の葉影で

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今日は2時からSalon Classicで武岡徹氏の歌曲、(伴奏:登士子夫人)コンサートシリーズVol.2があった。もう圧巻も圧巻、言葉を失った。

白いタキシードに黒蝶ネクタイの細身の紳士、齢、何と八十ニ、三、肘をグランド・ピアノの上にわずかに置き、悠々迫らず、抑制の効いた美声を轟かす。その声は正調そのもの。昔、カーネギー・ホールで見たピアニストのバイロン・ジャニスそっくりの品格を客に放つ。

驚きはその暗譜力、暗唱力。八十二、三にしてその身の回りには一切紙切れ無し。身一つで、ブラームスからベッリーニ、赤いサラファン、はるかなるサンタルチアときて、フォスターの「夢路より」で前半が終わる。(ごく一部を挙げた)後半はぐっと趣を変えて、狂言風の「鴉」、李白の「山中問答」、やっとお馴染みの日本歌曲「ゆりかご」「城ケ島の雨」「初恋」「この道」とくる。(これもごく一部)

ブラームスの「如何にいますやわが女王」から李白の「早に白帝城を発す」まで徹氏自ら明治調の古式豊かな日本語で訳している。その文学的才にも感心する。

今回のシリーズ2の表題は「緑の葉影」。その題名の示す通り、この爽やかな五月に相応しい曲ばかりを選んだ眼力、いや声力か、ドイツ、イタリア、ロシア、アメリカ、中国、日本の曲の中に棲み込み、清澄に、純情に、しかし凜として、情感豊かに、いささか裏声的に唄い上げるその実力は長い長い鍛錬の賜物だろう。八十を過ぎた男の総決算的歌唱にこの人の蒸留水的真骨頂を見た。おぉ、忘れていた。登士子夫人の可愛い姿。その夫に伴うピアノは只者ではない。元大阪音楽大学教授なのだから。次回シリーズ3は今秋だろう。今からもう愉しみである。このシリーズは永遠に続くだろう。

16.05.14武岡サロン(表)IMG_20160514_0001IMG_20160514_00020001