2011年6月19日 (日)
漆原啓子&ディヴィッド・コレヴァーデュオリサイタル(ゲスト出演:ロビン・コレヴァー)

2011年6月19日(日)18:30~     Salon Classic

昼に続いて夜のリサイタル。役者変わって漆原啓子さんとディヴィッド ・コレヴァーの出演。ロビンはそのまま、違うメンバーと組んで、昼間と同じバルトークのコントラスツを演奏する。

本日のプログラム
ベートーヴェン: ヴァイオリンソナタ第二番
シューベルト: ファンタジー
クライスラー: 愛の喜び 愛の悲しみ 美しきロスマリン
ヴィニアフスキー: ポロネーズ第2番A-Dur  
バルトーク: コントラスツ(with ロビン・コレヴァー)
 
今年もまたコロラド州ボールダーからディヴィッド・コレヴァーが来日した。 彼とはもうかれこれ二十年の付き合い。わが家族の一員、息子的存在だ。 今年はクラリネット奏者の奥さん、ロビンも一緒にやって来た。例年と同じく今年も漆原啓子さんとデュオ演奏をしたが、最後はロビンも交えてトリオ演奏をした。ここでは特に私の印象に残ったシューベルトのファンタジーとバルトークのコントラスツについて書く。シューベルトのファンタジーを聴きながらイメージしたのは清らかな渓流から飛沫を上げて激しく落下する滝だった。白糸の滝、滝は清らかだが、同時に激しい。漆原啓子のヴァイオリンも清らかで同時に壮絶。蒼白い水が幾十もの筋となって流れ落ちるように、漆原啓子の弓がヴァイオリンの上を激しく上下する。この清らかなエキスタシー。真白い滝に虹が射すようにヴァイオリンの音にオーラが射す。滝の流れる岩肌は黒光りするピアノ。陰影が美しい。動であり 静であるヴァイオリンとピアノの光沢、ヴァイオリンが白磁の壺ならピアノは輪島塗の黒の漆器だ。

バルトークのコントラスツ、これはクラリネットとヴァイオリンとピアノのために書かれた曲で、バルトークがスイング王、ジャズのベニーグッドマンに捧げた曲。最初の出だしがユーモラスだ。クラリネット、ヴァイオリン、ピアノが思い思いに己を主張し、もうもうとクラリネットが唸ればヴァイオリンが ピチパチと吠える。そこへピアノがキョンキョンと割って入る。クラリネットは管で茫洋としてくぐもった音。ヴァイオリンは弦で、繊細な絹糸のよう。ピアノは鍵盤で、打楽器と弦楽器のあいの子、バーンと野太い声を立てたりキーンと黄色い声を出す。この音の手品師が音の道化師となって、たとえば夏の夜中、田圃でゲロゲロと鳴く蛙やゴソゴソと騒ぐ山の鳥、ギャシャギョショと蠢く昆虫、自然を愛したバルトークらしい音の道化。 いわゆるクラシックの音に慣れた耳にはいささか違和感があるが、そこが狙い目、美醜を越えた美にこそ美は宿るとみた。

 

 ( 日 ) 漆原啓子&ディヴィッド・コレヴァーデュオリサイタル(ゲスト出演:ロビン・コレヴァー)