2001年9月23日 (日)
漆原啓子&朝子のデュオ・リサイタル

秋を彩る華麗なヴァイオリニスト姉妹、漆原啓子&朝子のデュオ・リサイタル       (ピアノ:小森谷裕子)
2001年9月23日(日)午後2時~ Salon Collina

秋分の日、雲一つない晴れ渡った空の彼方に富士山の雄姿が見える。 思わず、ヴェルレーヌの詩の一節、「秋の日の、ヴィオロンの、 ためいきの、身にしみて、ひたぶるに、うら悲し・・・」が思い出される。 秋の昼下がりのひととき、目を瞑り静かに聞くヴアイオリンの音に至福を感じつつ、先日の同時多発テロに散った数多くの同胞たちの冥福を祈る。美しい演奏が終わりその余韻に浸っているとき、またもやマンハッタンから悲しい知らせが飛び込んできた。ちょうど 漆原姉妹がここで演奏している最中、マンハッタンではヴァイオリンの巨匠、アイザック・スターン(81歳)が静かに息を引き取った。
プログラム
G.ヘンデル: 二つのヴァイオリンのためのソナタ
J.M.ルクレール: 二つのヴァイオリンのためのソナタより第3番
J.イベール: 二つの間奏曲
L.シュポア: デュオからOp.67-3 g-moll
M.モシュコフスキー: 二つのヴァイオリンとピアノのための組曲
~~~アンコール曲~~~
P.サラサーテ: ナヴァラ
D.ショスタコヴィッチ: 三つの小品よりガボット

決してポピュラーとは思えない曲の数々だが、それだけに新鮮で 真新しい印象を受ける。いずれがあやめかかきつばたの美しい姉妹、 その美しさはヴァチュウオソウの峻厳なまでのまなざしと弓を引く手に宿る。 その緊張を解すような小森谷の微笑と手つき。何故か観衆をホッとさせる。 夏の蝉時雨が済んだかと思うと今度はヴィオリン時雨、その中に豊かな色彩、清新な感性を 発見する。ときに軽妙、ときに流麗、ときに洗練された機智を味わう。やさしく相手に語り掛ける音、それに応える音。相手の音に近づき追いつきついに追い越す音、互いに デコとなりボコとなって補い合う音。そこにある深み、切れ、隆起。崇高ですらある。すぐに視覚に訴えたくなる 私にはカンディンスキーの絵を見る思いだ。様々な線と球で構成する幾何学的図柄が目に浮かぶ。啓子、朝子両氏のもつ鋭敏な感覚に強く共鳴した。

 

 

 ( 日 ) 漆原啓子&朝子のデュオ・リサイタル