2007年5月4日 (金)
第12回ニューヨーク音楽セミナー

The Music Center Japan を設立して以来20年となる節目の今年、春の第12回ニューヨーク音楽セミナーは文句なしの最高のツァーだった。連休の最中の5月4日(金)、トランクに一杯夢を詰め成田を飛び立った。滞在は10日までの一週間。ニューヨークは全期間を通じて絶好の五月晴れ、恒例のカーネギーでの出演はもちろん、新緑の降るニューヨーク郊外へ足を延ばし、全員がまたとないリフレッシュ充電を行なった。

今日も快晴。出演者全員が本番同様に着飾り5分程度の練習をする。本番最初に舞台に現われたのは坂牧大地君、6歳。名前の大地どおり、堂々としており、緊張したり恥かしがったりする様子はみじんもない。小さなヴァイオリンを抱えてシューベルトの「ミツバチ」とエルガーの「愛のあいさつ」を弾いた。2才から始めて今5年目というのだから凄い。筆者まで聴いていて胸が熱くなった。拍手喝さいが鳴り止まない。

9人のアメリカ人の子どものピアノ演奏に続いて10番目は春佳ちゃんのピアノ演奏である。曲はスクリャービンの前奏曲Op.16-3とショパンのGrand Valse Op.42。首を少しかしげながら勢いよく弾く。姉の春佳ちゃんの演奏にも惜しみない拍手が送られしばし鳴り止まなかった。

次に声楽。8人のアメリカ人が歌った後、トリを務めたのが美穂さん。バリー先生の指導よろしきを得て、快調に滑り出す。曲はカタラーニのEbben? Ne Andro Lontana from “La Wally”とロムベルグのWill You Remember? From “In May Time”。後者はこの5月の季節に合わせて選曲したものだ。堂々と登場。柔らかい声質がなかせる。感情表出も十分。高い豊かな、絹糸のような声質。五月を歌う明るい調べ、伴奏の引き立てもあって観客を魅了した。ジェスチャーも大きく拍手喝采だった。

次は田之上君のギター。曲はヨークのサンバースト。静かに爪弾くギターの音は哀愁を帯びてメランコリック。センチメンタルでもあり小刻みに心を揺する。観衆もしーんとして聴いていた。

次は平田楽子(たのし)さんのフルート。朱色のドレスに金色のフルート、フォーレの幻想曲Op.79を演奏する。巫女の笛を想像するのかフルートを聴くといつも神の楽器を聴く想いがする。ギター同様、フルートも今日のリサイタルをバラエティーあるものにした。

しばらくおいて今度は久田君のピアノ。静かな出だし、なかなかロマンティックである。後から聞いた話だが、ステージが終ってからロビーで十数人の人に声を掛けられ、良かったと評されたのがとても嬉しかったという。さもあらん。

カーネギーホールには大中小のホールがあって、今回のリサイタルは由緒ある小のWeill Recital Hallで開かれたが、ここで演奏できるのはまことに名誉なことで世界の音楽家の登竜門ともいうべき垂涎の的のホールである。天井を見上げれば三基のきれいなシャンデリアが輝き、壁はギリシャのコリント式の柱模様、クリーミーな温かい雰囲気の中に典雅な気品を備えている。

演奏が終ってロビーで立ち話をしていると、コロンビア大の日本人の先生、K氏にお会いした。五行歌に関心を示され、同大の日本文学者、ドナルド・キーン氏をよく知っているという。アメリカでの五行歌宣伝に貢献していただけるだろうと期待した。

 

 

 ( 金 ) 第12回ニューヨーク音楽セミナー