2015年4月21日 (火)
霜浦陽子&ニコラ・デルタイユ デュオ・リサイタル

4月19日(日)午後2時から催した霜浦陽子とニコラ・デルタイユとのデュオ・リサイタルは今回のニコラ来日の主イベントだったので特別に記したい。プログラムを見ただけで了解できるように多くの人が知っている最初のフォーレ:「夢のあとに」を除いては、どれもあまり一般に知られていない曲のようである。しかしだからこそ今回のリサイタルに意義があったのに違いない。

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筆者もこれらの曲には馴染みが薄く正直にいってどこまで味わい切れたか疑問だが、曲の地平を広げられたことに感謝したい。また絵画のたとえになるが、よく見慣れた印象派のモネの「睡蓮」やゴッホの「ひまわり」の目には現代の抽象画がいささか解り難いのと一緒で、聞きなれたショパンやモーツァルトの耳には少し味わいが違った。筆者は音楽においてもどちらかというとドイツロマン派よりもフランス印象派好みだから、十分味わい切れないまでも今回のプログラムは面白かった。

プーランク:ソナタ  フランシス・プーランク(1899~1963)はフランス音楽の大家の一人で、音楽(ピアノ)ばかりでなく文学に対する感受性にも富み、バレー音楽にも秀でている。第一次世界大戦で兵役に服した経験もあり、フランス的機知に富んでいる。曲から受けた印象は粘っこくなく、淡泊で爽やかっだ。

マルティヌー:ロッシーニの主題による変奏曲  ボフスラフ・マルティヌー(1890~1959)はチェコの作曲家でプラハ音楽院卒。パリやニューヨークでも学び、48年には再渡米してアメリカ市民権を得ている。作風は全体として新古典主義的で個々の作品にはチェコの民族性、印象主義、ジャズの影響が大きいという。曲から受けた印象もたしかにその通りに思えた。

ピアソラ:ル・グラン・タンゴ  アストル・ピアソラ(1921~1992)はアルゼンチン生まれで、幼少時代をニューヨークで過ごす。アルゼンチン・タンゴ前衛派の旗頭。タンゴにクラシックとジャズの要素を融合させた。よく聴く「リベル・タンゴ」とは趣を異にするもっと乾いた曲の印象だった。

アンコール曲にはラフマニノフ:ヴォカリーズ、サン=サーンス:白鳥が演奏された。いずれもチェロにもっともにつかわしい曲だった。チェロの印象は別途記した通り。そのチェロ演奏にアクセントをつけるピアノもおそらく難しいものだろうに、さすが霜浦陽子、あっぱれな演奏だった。