2020年11月1日 (日)
October Joint Recital

10月最後の夜はマスクをした少人数の人たちとともに秋のジョイントコンサートをSalon Classicで堪能した。目を瞑るとそこは薄暗い何かの胎内だった。そこで聴く音たちはまるで私に瞑想的に、あるいは幻想的に語りかけてくる言葉だった。目を開けると、白い歯並びの綺麗な口元が何事かを軽やかにリズミカルにそして懸命にしゃべっていた。そう、ピアノの鍵盤は歯並びだった。言葉というものは棒読みの一本調子ではいけない。抑揚に富み、時に強く、時に弱く、時にゆっくり、時に速く、メリハリをつけてこそ魅力を発揮する。今日の谷川のメシアン「幼子イエスの口づけ」は瞑想的な語り口だったし、中野のショパン、バラード第3番や幻想ポロネーズは夢想的だった。伊藤の絶妙な指の捌きに見惚れているうちにいつとはなしに浮かんだのがこのしゃべる鍵盤だった。