2008年5月14日 (水)
David Korevaar Piano Recital

2008年5月14日(水)開演19:00 ミューザ川崎 Assembly Hall

今年もまたコレヴァー・シーズンが廻ってきた。今日がその幕開けだ。レパートリーの広さで聞こえた彼は今年は何を演奏してくれるのだろう。昨日までまるで冬に逆戻りしたような寒さだったが、今日はまし、期待を膨らませながらホールに向った。

案の定、古典から現代曲までバラェティーに富んだプログラムで溢れていた。その中には彼自身が作曲したものも含まれていた。先ず感心するのはそのプログラム構成だ。古典物と現代物を取り混ぜ、小曲から大曲へと順序立てている。味わいが夫々違いフルコースの食事をしているようだった。

チャールス・グリフス(1884-1920):  三つの音画 作品5
音画は、「夕べの湖」、「夢の谷」「夜の風」。エドガー・アラン・ポーらの詩が下絵となっている。真夜中の月光が山頂を照らし谷間に滲み込んでゆく、そんな静寂に満ちた文学的、哲学的調べが流れていく。

ディヴィッド・コレヴァー(1962-  ): 五つの前奏曲
自らが作曲した現代曲。上記の三つの音画とはまさに対照的。今度は小刻みにピンピンとなる騒音。そんな無機質、硬質の中に柔らかい香りを嗅ぐ。あたかもそれは裸のままのコンクリート壁に飾った赤い小さなバラのようだった。

カーター・パン(1972-   ): ビル(1997)
コレヴァー氏よりも10歳若いコロラド大の同僚が作曲した曲。現代風にアレンジしたラグタイムがユーモラスで明るく楽しい。コレヴァー氏の解説の中に”devil may care”attitude とあり、意味を尋ねると、「人生、ままよ。気楽にやろうよ」ということらしい。そういえば「スーダラ節」に似ていた。

ローウエル・リーバーマン(1962-   ): ソナタ 第3番
コレヴァー氏とジュリアードで同級。切磋琢磨の仲。 現代曲のこの曲は重厚で構成力がしっかりしている感じ。素早い音のシャワーを聴いていると”喜びの機関銃”に思えてくる。騒と静の音を紡いで織り上げた密度の高い音布。よくぞこんな音布がイメージできたものだ。そして弾けたものだ。

ショパン: エチュード 作品25
Etudeとは勉強の意。練習曲と訳すそうだがあまりにもそっけない。しかし練習しなければ弾けない難しい12曲からなっているという。なるほどどの曲もそれぞれ趣が違う。私には12色の色鉛筆に思えた。11番の木枯らし(色)、12番のオーシャン(色)などよかった。

 ( 水 ) David Korevaar Piano Recital