2016年1月10日 (日)
David Korevaar Piano Recital

2016年1月9日(土)午後2時からSalon Classicで今回来日最後のソロリサイタルがあった。

それはもうすべてが圧巻だった。こんなあらゆる意味で強烈なコンサートは私のコンサート観を破ってしまった。凄い、の一語に尽きる。その素晴らしさは筆舌に尽くし難いが、ディヴィッド・コレヴァーの真骨頂、真価が今日ほど発揮されたことはかつてなかった。ディヴィッドから予め送られてきたプログラム解説を訳しているときから、内容の複雑さ、訳し難さを痛感していたが、なるほどこれがその実体だったのかと知って唖然としてしまった。ともかくパワフルでダイナミック、緩急自在、目に留まらぬ速さもあれば急ブレーキを掛けた遅さもある。明るさはあくまで明るく暗さはあくまで暗かった。それは音による現代絵画だった。たとえばワリシー・カンディンスキーやパウロ・グレーあるいはジャクソン・ポロックの作品を見る思いだった。ディヴィッドは音で詩や物語を書く詩人、文士であり、同時に絵を描く画家でもあった。聴く方も同じく曲を聴くというよりそれを通じてそこに何を見るか何を読むかを迫られたような気持ちがした。ヒンデミットの新鮮さもさることながら、今回、一番強烈な印象を持ったのはラヴェルの「夜のガスパール」だった。今までに何度も聴いた曲ではあったが、その重厚な暗さの美にとくに圧倒された。私が抱いた印象を上記の画家たちの作品で表すと次のようになる。1の着物はシューベルト曲、2の線画はヒンデミット、3はラヴェルのオンディーヌ、4は絞首台、5はスカルボ、6はリスト曲である。

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Today’s concert was the best I’d ever heard David playing. It was superb!  So powerful and so dynamic. The splendor is beyond description but David showed unmistakably the best and greatest part of him. He is not only a pianist on the keyboard but also a poet writing beautiful poems by pen and a painter of modern arts by brushing on canvas. I was today especially charmed by Paul Hindemith but more fully intoxicated by Maurice Ravel’s Gaspard de la nuit. They were like works by contemporary artists such as W. Kandinsky, Paul Grey or Jackson Pollock.

シューベルト 即興曲

シューベルト 即興曲

ヒンデミット ソナタ第3番

ヒンデミット ソナタ第3番

ラヴェル: オンディーヌ

ラヴェル: オンディーヌ

ラヴェル:夜のガスパール 絞首台

ラヴェル:夜のガスパール
絞首台

ラヴェル:夜のガスパール スカルボ

ラヴェル:夜のガスパール
スカルボ

リスト:メフィストワルツ第1番

リスト:メフィストワルツ第1番