2011年1月19日 (水)
Marco Meloni バロックギターリサイタル

2011年1月19日(水) 14:00~      Salon Collina

2011年元旦から今日まで晴日が続き、今朝の富士山は少しもやがかかっていたが、二人の賓客を迎えてくれた。、一人は七年前に一度ここに来たことのあるマルコ・メローニ、もう一人はここには初めてだが日本に三十年ぶりに再来した世界的ギタリスト、「生きる伝説」のホルヘ・カルドーソだった。彼は何と世界的ギタリストであるばかりでなく、作曲家、外科医、音楽大学の教授でもある。この二人を連れてきてくれたのは樋浦靖晃氏だった。

曲目

    J.S.バッハ.........................   シャコンヌ BWV1004
     J.S.バッハ.........................   パルティータ第3番BWV1006
     Saldivarの写本より(メキシコ)......ファンダンゴ
    リマの譜本より(ペルー).............3つのソナタ
    A.M.バルトロティ................... 組曲ニ短調
    G.サンス~A.de.サンタクルス........カナリオス
    F.ルコック.........................   スペインのフォリアによる変奏曲

 

今日はバロック・ギターの品格をあらためて認識した。常日頃、騒音に慣らされた耳にはバロック・ギターは物足りないぐらい小さく静かな音だが、それが今から三百年から三百五十年前の古楽器と聞くと肯ける。ピアノの始祖、チェンバロに似た繊細で黄色い音を出す。汚れた心も洗われる思いがし、しばし祈りにも似た気分に浸る。 ギターの胴に大聖堂のドームのような穴が開いていて、中が羊皮紙で覆われている。宇宙創造の神とコンタクトしたギタリストがこの穴に神を招き入れるのだ。その音は一種単調に聞こえるが、一人静かに沈思黙考する心の襞にその一音一音が優しく忍び込み、喰い込み、語りかけてくる。ギタリストと私の間に繋がった細い音の糸は この穴に通じているのだろう。ピアノやヴァイオリンは人の知性に訴えてくるが、 バロック・ギターは人の情感に訴えてくる。だからだろうか胸に響く。ギタリストの動きに派手なところはない。一定の姿勢を保ち、向って左は指先だけで 織物でも織るように音を紡いでいる。蜘蛛が足を動かしているようでもある。右は腕がわずかに動き指が上下して、絨毯か畳の上を滑るように柔らかい音が流れ て行く。シャラン、シャランと打ち鳴らす音、ポロン、ポロンとため息をつく音。ジャン、ジャンと掻き鳴らす音。この単調な音の中に七色の音を蔵していたのだ。バロック・ギターには9本の弦があり、調弦には時間がかかる。マルコとホルヘの二重奏には18本の弦が上手く調和しなければならない。いよいよ調弦が大変だ。しかし それだけに色彩豊かだ。マルコとホルヘ、それに樋浦氏を加えた三重奏が圧巻だった。音のサクラがパッと咲いたような賑やかさ。手前、奥、あるいは上の梢に一斉に咲く音 の花びら、満艦飾が実に美しかった。

 ( 水 ) Marco Meloni バロックギターリサイタル