2015年1月9日 (金)
New Year Joint Recital 阿見真衣子&David Korevaar

1月8日(木)午後7時よりSalon Classicでこの二人のジョイント・リサイタルを催した。阿見さんは2000年に初めて発表された世界的名器、最高級ピアノShigeru Kawaiを同年に購入した若手ホープのピアニスト、かたやDavidは1992年以来23年に亘り毎年来日するわが息子的存在の米中堅ピアニストである。

プログラムは阿見さんが、ショパンの3つのマズルカ作品59、舟歌 嬰ヘ長調作品60とシューベルトの幻想曲ハ長調 作品15《さすらい人》、David Korevaarが、バッハの平均律第2巻よりプレリュード&フーガ嬰ヘ短調とプーランクのナザレの夜だった。

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阿見さんのプログラムの中、私のもっとも印象に残ったシューベルトの幻想曲さすらい人について感想を述べたい。後半終わり近いところで、音量豊かだが暗い音質の濁流の中で骨と骨が、肉と肉がしのぎを削るような、無茶苦茶なペシミズムの極みを見た。人生がさすらう旅ならば、そのような感に打たれる局面があっても少しも不思議ではない。もうそれは悲観美とでもいえそうな演奏部分だったが、そこが一番印象に残った。

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次にDavid Korevaarの「ナザレの夜」に触れよう。これは初めて聴く曲だった。プログラムノートを翻訳している時からこれはどんな曲だろうと勝手に想像していたが、予想にたがわず、フランス風エスプリに富んだプーランクらしい曲だった。ナザレの居酒屋に夜な夜な現れてはピアノの回りにたむろする連中8人をピアノで即興的にスケッチしたもの。曲に合わせて私も心の中で一筆画を描いていた。まずはこの男「分別臭さプンプン匂う」、お次「感情露わに思ったことズバズバぬかす」、次「無頓着かと思いきやなかなか慎重な御仁」、次「屁理屈一杯並べやがって」、次「人を煽てるのが上手い奴」、次「一人悦に入ってら」、次「人の不幸を喜ぶ嫌な奴」そして最後「抜け目のない年寄り」ばあさん、この居酒屋のオーナーてな具合。コミカルでユーモラス、いやシニカルか。クラシック音楽には崇高な美を求めがちだが、こんな曲を聴くと、なかなか機知に富んでいて小粋だなぁと思ってしまう。

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