2016年3月13日 (日)
70歳台最後の油絵 ージャズシティー

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自分の思い出のためにもこの絵については少し述べておきたい。今日は3月13日、後9日すると80歳の誕生日を迎えることになる。つい先日の閏日、サロンを見学に来たお客さんが、「ここはクラシック音楽だけですか、ジャズなんかもできますか」と訊いてきた。「えぇ、できますよ。偶々クラシックばかりが続いているだけです」、「私は定年になるまであまりクラシックは聴かなかった。むしろジャズでした」と答えた。と同時にいわれて見るとこのホールはジャズの雰囲気に乏しいな、何かジャズを連想しそうな絵も欲しいな、落成してからもう5年目だしなと思い始めた。実はこけら落としは東日本大震災の翌日12日で、大混乱の中、東京から必死の思いで駆けつけてくれたヴァイオリニストの漆原啓子さんが初日を飾ってくれた。何か思いだすと直ぐにも着手しないと気が済まないので早速構想を練った。

かつて駐在したニューヨークの空、特に職場だったロックフェラービル44階から眺めた夜のマンハッタン、毎晩毎晩残業しながら眺めた夜景が頭にこびりついている。ジャズといえばブルーノートだが、それを描いても余りロマンチックではない。マンハッタンの夜景はきれいでロマンチック、セレネードにはピタリだが、必ずしもジャズの雰囲気とはいえない、さてどうするか、そこで思案していたら、特徴のあるクライスラービルの屋根がクラリネットに似ていると思い、またその横に見えるアメリカ銀行ビルの尖塔がフルートに見えてきた。すると不思議、明るい通りがサックスの胴体に見えてきた。ちょっと待てよ、ここが少し寂しい、いっそここに観覧車をホルンの形で置こうなどと考えているうちにだんだんと構想が固まってきた。やはりピアノが欲しいな、どこに置くか、左下にしよう。何となく「通り」のようにも見えるし、マンションのテラスのようにも見える。見えるか見えない程度に白でSteinwayと書いた。

描き始めたのは3月7日、それから、8日、10日、12日、そして今日13日が仕上げ、毎回1時間半から多くて2時間、それ以上は神経が集中できない。ざっと9時間の仕事だった。ここにきてやっと私の独自作風ができてきたようだ。次回からは80歳入りしてからの作品となる。定年後65歳で初めて始めた油絵もやっと新境地に入りはじめた。その意味でこの作品は70歳台最後の作品として記念になるだろう。